Googleビジネスプロフィール「インサイト」の見方と分析のポイント
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MEO対策では、検索順位の変動状況を確認するのは当然の事ながら、自社のビジネスがどれだけユーザーに認知され、探し出されているかを理解するために、Googleビジネスプロフィールの「インサイト」の使用が極めて重要です。
インサイトはMEO戦略における重要なアクセス解析データを提供します。
店舗情報が検索ユーザーにどれだけ表示され、また、どの程度ユーザーアクション(クリックや通話など)が行われているのかを理解するためには、この機能が不可欠となります。
Googleビジネスプロフィールの「インサイト」は2023年2月に「パフォーマンス」に名称を変更し、その機能もアップデートされました。ビジネス情報の検索パフォーマンスに関するデータを提供するというコアな目的は同じですが、データの計測方法や集計基準が大幅に改善・拡張されました。
本記事では、新たに導入された「パフォーマンス」項目について、旧「インサイト」項目との違いを踏まえつつ、データの解釈や分析の要点について詳しく解説します。
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Googleビジネスプロフィールの「インサイト」とは?
Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)のインサイトは、MEOにおけるアクセス解析データです。
店舗のビジネス情報を検索し見つけたユーザーの行動パターン、検索の種類、閲覧状況、使用されたキーワード、そして電話での問い合わせ、ルート検索、ウェブサイトへのクリックなど、具体的なユーザーアクション(コンバージョン/インタラクション)の数値等、広範なデータを提供します。
インサイトから得られるデータを適切に分析することで、店舗の認知度や集客の現状を詳細に把握し、施策の効果を検証することが可能になります。
インサイトデータはビジネスの進行を理解し、戦略を最適化するための重要なツールとなります。
新しく導入された「パフォーマンス」データと旧来の「インサイト」データとの違いについてこちら
Googleビジネスプロフィールの「インサイト」の見方
インサイトからパフォーマンスデータへの移行に伴い、分析項目は大きく変化しました。
まずは、パフォーマンスの各指標について詳しく見ていきます。
Googleビジネスプロフィールのパフォーマンス
パフォーマンスデータの確認は、Googleビジネスプロフィールの管理画面にある「パフォーマンス」タブから行います。
※旧インサイトのデータを確認したい場合は、GoogleビジネスプロフィールマネージャからCSVファイルをダウンロードすることが可能です。この方法については後ほど詳しく説明します。
【用語解説 】
- ビジネスプロフィール
- ビジネスブロフィールとは、Googleマイビジネスに登録したビジネス情報全体のことを意味します。
ビジネス プロフィールで実施されたインタラクション
「パフォーマンス」にアクセスすると、まず「概要」タブが表示されます。
ここでは指定した期間内にユーザーが行った電話、メッセージ送信、ルート検索などのインタラクション数がグラフとして表示されます。
これらの数値の推移を確認することができます。
最大6ヶ月までの期間を指定することが可能ですが、より長期的なデータを確認したい場合は、Gyro-n MEO(無料トライアル可能)を利用すると最大18ヶ月間のデータ取得が可能です。
【用語解説 】
- インタラクション
- インタラクションとは、ユーザーがGoogleマイビジネスを経由して店舗に電話やメッセージ送信などのアクションが発生した指標のことです。
ユーザーがビジネスを見つけた経路
Googleビジネスプロフィールの「パフォーマンス」では、Google検索やGoogleマップを通じてビジネスプロフィールを表示したユーザー数が表示されます。
ビジネス プロフィールを閲覧したユーザー数
プラットフォーム(Google検索・Googleマップ)やデバイス(デスクトップ・モバイル)ごとユーザー数が表示されます。
ユーザーは同一日内の複数アクセスを除外し1日1回のみカウントされます。
この集計方法は、旧インサイトとは異なり、同じユーザーが同じ日に同じ検索行動をとっても重複してカウントされないようになっています。
これにより、プラットフォームやデバイスごとにどれだけのユーザーが閲覧しているかをより精確に把握できます。
データの見方、使い方のヒント
例えば、公式ウェブサイトのアクセス解析(Googleアナリティクス等)での想定されるスマホデバイスからのアクセスに対して、ビジネスプロフィールのデータではPCブラウザが比率が多いというようなギャップがある場合は、直接来店検索するユーザーより、事前に来店しようか情報収集しているユーザーが多いというケースも考えられます。
Googleビジネスプロフィールの「パフォーマンス」では、ユーザー数は円グラフで表示され、月別や日別の推移を確認することはできません。
Gyro-n MEOでは、パフォーマンスデータを日別、月別に分解し、自由にデータの期間抽出や比較が可能になります。さらに、最大18ヶ月間の期間データも抽出できます。
Gyro-n MEOでは、施策内容をメモとして保存し、インサイトグラフ上にピンを表示させることで、その施策が順位だけでなくインプレッションやアクションにどのような影響を与えたかを検証することができます。
ビジネス プロフィールの表示につながった検索
自社のビジネスプロフィールが検索結果に表示される際、ユーザーが用いた検索語句(キーワード)一覧を閲覧できます。
この情報は、ユーザーがどのようなキーワードを通じてビジネスを発見しているか、どのような検索クエリが一般的なのかを理解し、対策ワードを選定する際に必要不可欠なデータです。
データの見方、使い方のヒント
例えば、ラーメンで検索される件数は多いものの、より明確な「豚骨ラーメン」では検索表示されていない、ということがわかります。
その場合は、検索エンジンに対して「豚骨ラーメン」との関連性やひも付けが弱いと想定されるため、具体的にGoogleビジネスプロフィールの投稿やメニューなどで情報を発信する施策が有効となります。
Gyro-n MEOを利用することで、ビジネスプロフィールへの表示を促したキーワードデータを自由に集計できます。
各キーワードによる月間検索数の動向、総合的な推移、または前月との比較による新規キーワードの抽出など、詳細な分析が可能です。
関連記事:キーワード・検索クエリ分析機能
パフォーマンスデータの各インタラクション
ここから、パフォーマンスデータ内の各種インタラクションの詳細について解説します。
メニューのコンテンツを閲覧したユーザーの数
Googleビジネスプロフィール上のメニューコンテンツ(料理の詳細情報、メニュー写真、ビジネスプロフィール上のメニューリンク)を閲覧したユーザー数を示すグラフです。
この指標はビジネスプロフィールのビジネスカテゴリーが飲食関連に設定されている場合のみ表示されます。
ビジネス プロフィールからの通話
このグラフは、Googleビジネスプロフィール上の電話ボタンをクリックした回数を示しています。
※投稿のボタン設定による「今すぐ電話」ボタンからのクリックはこのカウントには含まれません。
ビジネス プロフィールから送信されたメッセージ
Googleビジネスプロフィールから送信されたメッセージ数を示すグラフです。
メッセージを受け取るには、メッセージ機能を有効に設定しておく必要があります。
詳細は以下の関連記事をご覧ください。
ビジネス プロフィールからの予約
Googleビジネスプロフィールから行われた予約数を表示するグラフです。
予約を受け付けるには、予約機能(Googleで予約)を利用する設定にしておく必要があります。
ただし、業種やカテゴリによっては、予約機能が利用できない場合もありますのでご注意ください。
ビジネス プロフィールからのルート検索数
Googleビジネスプロフィールから店舗へのルート検索を行ったユーザーの数を示したグラフです。
この指標はユニークユーザー数で、以前のインサイトでは重複クリックもカウントされていましたが、現在のパフォーマンスデータではより正確にユーザー数を計測しています。
ビジネス プロフィールからのウェブサイトへのクリック数
Googleビジネスプロフィールからウェブサイトへのリンククリック数を表示するグラフです。
※投稿のボタン設定によるリンク先URLを公式サイトに設定していても、このウェブサイトクリックのカウントには含まれません。
予約リンクのクリック数(ホテルの無料の予約リンクのクリック数)
無料の予約リンクは、ホテル検索結果で表示される予約リンクです。
この機能を利用するには設定が必要です。
商品を閲覧したユーザー数
商品を登録している場合、商品を閲覧したユーザー数と人気の商品が表示されます。
Gyro-n MEOでは、パフォーマンスデータを日別、月別、複数店舗の合算形式、店舗別集計、平均値など、分析ニーズに合わせた自由なデータ出力が可能です。
インサイトデータの分析で注意するポイント
多くの店舗では、毎月のデータを前月比としてチェックし、その増減に対して考察することが多いですが、業種によっては、季節変動なども考慮に入れて分析が必要です。
そのためには、ある程度長期データを取得し、前年比較でデータを確認し、同じ季節でどのような変化があるかを見ておくようにしましょう。
ビジネスプロフィールのパフォーマンス画面では、6ヶ月間のデータしから遡ることができませんが、Gyro-n MEOでは過去18ヶ月のデータ取得と、前年比較を自動で表示することも可能です。
新パフォーマンスデータと旧インサイトの違いと注意点
ユーザー単位での精密な計測への移行
パフォーマンスデータとインサイトは、一部データ項目が共通していますが、その測定基準や集計方法は大きく異なるため、直接比較することは適切ではありません。
インサイトでは同一ユーザーが同じ検索行動を複数回行った場合もそれぞれ個別にカウントされる傾向がありました。
しかし、パフォーマンスデータでは1日ごとにユーザー単位で精密に計測されるようになり、結果として従来のインサイトで見ていた数値よりも大幅に低下しているように感じられるかもしれません。
これはデータの誤解を避けるために重要な点で、実際の状況により忠実な計測値を提供することで、より正確なマーケティング情報が得られるようにGoogleが改善を進めた結果です。
「間接検索」「直接検索」「ブランド検索」ごとの集計がなくなりました
旧インサイトでは提供されていた、「間接検索(商品・サービスなどに関連するキーワードでの検索)」「直接検索(店舗名指名での検索)」「ブランド検索(店舗のブランド名での検索)」という区分けがなくなりました。
新パフォーマンスでは、代わりに検索キーワードごとの検索数が提供されています。このデータを活用することで、間接/直接検索の区分けを独自に行うだけでなく、より詳細な検索クエリごとの検索数の変化を追跡することが可能です。
パフォーマンスでは検索キーワードごとの検索数が提供されています。
こちらを集計することで従来通り間接/直接検索別の検索数の把握や、より詳細な検索クエリごとの検索数の変化などを追うことができるようになっています。
Gyro-n MEOでは、「キーワード」機能で確認できます。
旧インサイトの各指標について
ユーザーがあなたのビジネスを検索した方法
ユーザーが自社のビジネス情報を3つのタイプ(直接・間接・ブランド名)のうち、どの項目で検索してきたかを、検索総数と割合を確認できます。
- 直接検索:店舗名、住所など直接キーワードで検索したユーザー数
- 間接検索:サービス名やカテゴリなどの間接キーワードで検索したユーザー数
- ブランド名:ビジネスに関連するブランドで検索してきたユーザー数
カテゴリやサービス名、商品の検索でMEOが成功している場合は、「間接検索の割合」が増加します。
店舗名でのブランディングが進み、知名度が高くなっている場合は、「直接検索の割合」が増加します。
ブランド検索は、複数の拠点を運営しているビジネスの場合に表示されることが多くなります。
ユーザーがビジネスを見つけた Googleサービス
ユーザーがGoogleの自然検索(オ―ガニック検索)経由か、GoogleMap経由か、どちらかでビジネスを検索してきたかを確認できます。
カテゴリ・サービス等のワード(間接検索)でのMEO施策が成功すると、検索リスティングの表示が伸びる傾向になります。
ユーザーの反応
ユーザーが自社のビジネス情報を見つけてから行ったアクション(行動)を確認できます。 アクションの種類は以下の4種類測定されます。
- 登録しているWebサイトへのアクセスしたユーザー数
- 位置情報から店舗の行き方(ルート)をリクエストしたユーザー数
- 直接電話をかけ、通話したユーザー数
- マイビジネス情報からメッセージを送信(質問と回答)したユーザー数
ルートのリクエスト
ルート検索をしたユーザーの地域を表示します。
業種によっては広範囲での地域からルート検索されている場合があり、ターゲットユーザーの地域を確認することができます。
電話
ユーザーがビジネスプロフィールから電話ボタンをクリックし通話した曜日や時間帯を表示します。
写真の閲覧
自社のビジネスプロフィールにアップされた写真の枚数と閲覧回数が、同業他社と比較して表示されます。
写真の枚数や表示回数は店舗の人気度などユーザーのアクティブな行動とし評価指標が高い項目です。
魅力的な写真の訴求は、ユーザーが能動的にレビューや、写真をアップしたくなる仕掛けとなり、MEO対策において非常に重要です。
写真の枚数
自社のビジネスプロフィールにアップされた写真の枚数が、同業他社と比較して表示されます。
複数店舗まとめてインサイトデータを分析するには
Googleビジネスプロフィールのインサイト(パフォーマンスデータ)からは、1店舗分のデータしかチェックできません。
複数店舗を運営していても、各店舗の数値を合算したり、エリア別に分けたりする確認作業ができないのが難点です。
Gyro-n MEOでは、これら各店舗のインサイト(パフォーマンス)のデータを店舗グループごとに合算した数字を表示でき、またCSVデータエクスポートも可能です。
旧インサイトデータを出力する方法
パフォーマンスデータへの移行に伴い、インサイトデータは直接管理画面からは表示することができませんが、それらのデータはCSVファイルとして出力することが可能です。
ただし、将来的に利用できなくなる可能性がありますのでご注意ください。
インサイトデータを出力する場合は以下の手順に沿って行ってください。
1.まず、Googleビジネスプロフィールマネージャにログインします。
インサイトを出力したいビジネスに対するチェックボックスをオンにした後、画面の右上にある「操作」プルダウンメニューが表示されます。
2. 「操作」メニューから「インサイト」を選択します。
3.「ローカルレポートの作成」画面に移動し、そこで「検索に関するインサイト」を選択した後、「次へ」ボタンをクリックします。
4.データを抽出したい期間を指定し、「レポートダウンロード」ボタンをクリックします。
5.最後に、画面の左下にある「ダウンロード」リンクをクリックして、データを出力します。
インサイトデータのチェックすべきポイントと分析例
パフォーマンスデータには貴重な情報が含まれています。各指標の動向、数値の成長パターン、および割合の変動を理解することで、ビジネスの成功を左右する洞察を得ることができます。
Gyro-n MEOはパフォーマンスデータのエクスポートを容易にし、各指標の割合を自動的に算出します。
デバイスとプラットフォームに基づく指標の分析
デバイスとプラットフォーム別の検索数とその割合をチェックします。
こちらの例では、1〜3月までの期間では検索ユーザー数の大きな変化はありませんが、4月には明らかな増加が見られます。
一見するとユーザー数が単純に増えているように見えますが、割合を細かく分析すると、1〜3月の期間ではパソコン・モバイルを問わずGoogle検索が主に使われています。
しかし、4月になるとGoogleマップの利用割合が急激に増えています。
これらを踏まえると、4月は情報収集のための検索だけでなく、Googleマップを使って店舗への来店が増えている可能性があると推測できます。
インタラクション別指標の分析
ユーザー行動(インタラクション)についての数値と反応率を対象に分析を行います。
この例では、4月のユーザー数の増加に伴い、ユーザーアクションも増えています。
しかしながら、反応率(インタラクション数/全体ユーザー数)は逆に減少しています。
全体を通してみると、
- 4月から大きく閲覧ユーザー数が増え認知度が高まっている
- 特にマップからの検索ユーザー割合が増えている
- 電話やルート検索の数値が伸びており、集客に寄与している
- ユーザー数の伸びに対してインタラクションの伸びが低いため、集客につながる情報提供がさらに必要
といった状況が確認できます。
Googleビジネスプロフィールのインサイト/パフォーマンスデータは、消費者があなたのビジネスをどのように発見し、利用しているかを詳細に理解するための重要な情報源です。
Gyro-nのインサイトデータを活用し、MEO対策の検証や分析を進め、集客改善につなげてください。