ログ解析レポートから考えられる離脱とエラーの原因について<エラー率編>
前回は レポートから考えられる分析例<離脱率編> をご紹介しましたが、今回は離脱の原因にもなるエラー率についてご紹介します。
項目別レポートのエラー率を参照
離脱率を確認する際と同じく、エラー率も項目別レポートから確認が可能です。
エラー率には「入力後エラー」と「サブミット時エラー」のタイミング別でカウントする数値を取っており、これらの中からワーストエラー率を選出します。
そして、エラーの内容を細分化したものが「条件別エラー」と言い、どのような入力内容でエラーになったかを確認することができます。
※それぞれの定義は以下の通りです。
- 入力後エラー数:入力項目にフォーカスしてから何かしらエラーになった回数
- サブミット時エラー数:入力項目に何かしらエラーが残った状態のまま送信ボタンを押してエラーになった回数
- 条件別エラー数:入力後各条件のエラー数
ワーストエラー率を確認
まずはワーストエラー率から見ていきましょう。
以下のデータは、弊社の問い合わせフォームのワーストエラー率です。
ここでは上位3つの項目についてエラーの要因を考えてみます。
メールアドレスでのエラー要因
エラー率トップは「Eメール」(項目名ママ)ですが、メールアドレスは他項目と比べて入力内容が煩雑になります。
そのため、入力を後回しにして未入力エラーとなっているケースや、メールアドレスの形式ではない(@やドットの入力漏れなど)ケースでエラーが上がっている可能性があります。
「入力後」というのは「入力項目にフォーカス後」を指していますので、フォーカスして何も入力しない、もしくは正しい入力形式ではない状態で項目から離れると、上記のカウントに含まれるようになります。
電話番号でのエラー要因
電話番号の入力後エラーについてですが、「電話番号」と言っても、自宅番号・携帯番号・会社の電話番号さまざまあります。
問合せフォームの場合、会社の電話番号を入れるユーザーも多く、
番号を覚えていないユーザーは一度確認のために入力項目から外れて未入力エラーになるケースがあります。
また、数字のみの入力なのか、もしくはハイフンを入れた状態の入力なのか、文字の種類でもエラーは起こりやすい箇所となります。
入力例を入れるなど、入力指定を明確にしてあげるのもユーザーにとって親切です。
また、問合せフォームの場合、問い合わせたあと、どのような手段で先方から回答がくるか、メールに届く場合は、電話番号の入力は不要と考えるユーザーもいるかもしれません。
入力をためらう理由を考えて、このような場合は「ご希望の連絡手段」といった項目を選択式で設けてあげるのもひとつの方法です。
お名前でのエラー要因
Gyro-nの問い合わせフォームでは最初に「問合せ種別」のチェックボックスがあって、次に「お名前」のテキストボックスがあります。
「問合せ種別」は、離脱率編(リンク)でご紹介したように、先頭項目であるため、比較的離脱されやすい傾向があります。
ただ、チェックボックスが選択項目であるため、入力後エラーというのは多くありません。
※入力後エラーになるのは、チェックを入れて外した場合があてはまります。
そうなると、ユーザーが実際に入力する項目として先頭項目になるのは、テキストボックスの「お名前」になります。
選択肢から選ぶよりも、何かを入力するという動作は、もともと確度の低いユーザーからすると煩雑になるため、
入力をやめてエラーになっているケースが考えられます。
そして、そのまま離脱をするユーザーがいるので離脱率でも上位にランクインすることも少なくないです。
ワースト条件別エラー率を確認
全体のエラー率を確認した後は、細分化した条件別エラー率を見ていきましょう。
ワーストエラー率では見えなかった、どういう入力(操作)でエラーになっているかが明確になっています。
こちらから要因を深堀していきます。
未入力でのエラー要因
ワースト順位に上がっている項目すべてが「未入力」でのエラーが多くなっています。
電話番号とメールアドレスは入力が煩雑、または確認のために一度項目から外れて未入力エラーとなっている可能性が高いです。
お名前に関しては、先程ご紹介したように、確度の低いユーザーが入力をあきらめてしまっていることが考えられます。
その他エラー要因例
ワースト順位には上がっていないですが、未入力エラー以外に文字種や文字数でのエラーもあります。
中でも、メールアドレスでよく使われる「正規表現」というのがあります。
正規表現とは、英数字などの単なる文字種での制限ではなく、
一部の記号のみ許容される、文字列が決まっているなど、複雑な形式で制限をかける際に使われます。
メールアドレスでは、半角英数字はもちろん、アットマーク(@)やドット(.)が使われたメール形式になっているかを判断しています。
正規表現でエラー数が上がっている場合は、誤って全角入力や記号が漏れて入力されているとの認識で良いかと思います。
メールアドレスは入力エラーに気づきにくいユーザーも多いため、エラーメッセージをわかりやすくしてあげると親切かもしれません。
離脱率のワースト順位を確認
エラー率を確認したあと、そのエラーによってどれだけ離脱につながったのかを確認するため、ワースト離脱率を改めて確認します。
ワーストエラー率(条件別エラー含む)に上がっていた、
- メールアドレス
- 電話番号
- お名前
の項目のうち「メールアドレス」と「電話番号」はワーストランク外となっていました。
この2項目では入力エラーはあったものの、入力を見直して(修正して)いるユーザーが多く、離脱するユーザーは少なかったということがわかります。
一方、「お名前」のみがワースト離脱率にランクインしていましたが、項目自体が最初の方であることから、未入力エラー⇒そのまま離脱するユーザーがいるようです。
ただ、トップの「問合せ種別」もそうですが、全体的に見ても1%前後と割合は少ないため、対象フォームの基準値として、それぞれ経過観察していくのがよいと思います。
まとめ
エラー率だけを見て判断するのではなく、該当項目が離脱率でも高い割合であるかを確認して改善案を考えることが重要になります。
そして、その改善案が本当に効果のある施策なのかどうか、まずはABテストを実施して検証するのがよいでしょう。
参考数値というのはないので、お客様自身で最初に計測した数値を基準値とし、様々な検証を繰り返しCVR向上につなげていくのがよいと思います。